あいみょんの曲に感じる芸術センス

あいみょんの「君はロックを聴かない」はメジャーデビューから1年弱経って3rd シングルなのだが、デビューからこの時期までのまとめ的なシングルな気がする。私の中でこの時期のテーマは青春に漂う虚構性にあるのではないかと思っている。

 

「君はロックを聴かない」の歌詞を何回も聴いていると、最初から最後まで語り手の男性の妄想に過ぎないんじゃないかと思えてくる。小説とかも言ってしまえば書き手の妄想であり、虚構性が文学や歌の一つの良さであったりする。

 

君はロックなんか聴かないと思いながら

少しでも僕に近づいてほしくて

 

サビの歌詞を挙げてみたが、ロックなんか聴かないと思っているのに、「君」の目の前でロックをかけるだろうか。

 

少し寂しそうな君に

こんな歌を聴かせよう

 

冒頭など、君が目の前にいることを妄想してる様がありありと目に映るようで、笑いそうになるほどだ。ニタニタ笑いが止まらない。

 

「少し寂しそうな君に」というフレーズを私は初めて聴いた時、君が目の前にいて、寂しそうな顔で遠くを見ているのかと思っていた。そうじゃなくて、街や学校で見かける君は寂しそうな顔をしている、ということではないんだろうか。君のことを想像した上で、今もし君が隣にいたらこんな歌を君に聴かせたい、という妄想なのではないか。むしろその虚構が、青春っぽさなんじゃないか。好きなんだけども、あと一歩が踏み出せず、妄想の中で終わってしまう。その切なさが良いのではないか。