モスバーガーでホットコーヒーを注文すると、厚紙のコースターに載って出てくる。そこに店員がメッセージを手書きで書き込むようになっている。
アイスコーヒーにはコースターもメッセージもない。ホットコーヒーだけだ。
その時は夏だったので、私はアイスコーヒーばかり注文していた。
10回目くらいに来店した時、ホットコーヒーもメニューに載っていることに気づいた。
私がモスでホットコーヒーをはじめて飲んだ時に書かれていたメッセージはこうである。
“甘いもので、ほっこりしませんか?”
コーヒーは苦い。モスで甘いものってなんだ?と思ったのだが、
張り紙でフルーツタピオカティーなるものを宣伝していた。これだった。これを次は頼んでくれということだろうか。
次に来店した時、私はまたホットコーヒーを頼んだ。1杯で2時間以上パソコン作業をしていた。私はコーヒーも飲まずにずっと席を占拠するだけの、よろしくない客になりかけていた。そのため2杯目のホットコーヒーを頼んだ。
以下に1杯目と2杯目のメッセージを列挙してみた。
“ご来店ありがとうございます”
“マスクの下は笑顔でいっぱい!!”
である。
1杯目の
“ご来店ありがとうございます”
は手を抜きすぎだろう。
店員のメッセージが書かれたコースターには、バーガーの格好をしたキャラクターが描かれていて、
“また来てくださいね”
と言っている。それに引っ張られたんだろうか。
“ご来店ありがとうございます。また来てくださいね”
これでは営業トークすぎるだろう。定型句。
来店に対する感謝の言葉からの、次回来店の勧誘への展開早すぎないか。
2杯目の
“マスクの下は笑顔でいっぱい!!”
は私の中でいくつか解釈が分かれた。コロナ禍の影響でマスクを着用する人が増え、表情が分かりにくくなったことを言っているのだろうか。
店員も当然マスクをしているので、笑顔が分かりにくい。
マスクを外せば笑顔でいっぱい、お客様を心からもてなしていますよ、ということだろう。
しかし別の解釈も生まれた。この時私はマスクを外して1杯目のコーヒーを飲んでいたので、2杯目はマスクをつけ忘れて注文しにいった。だから以下のような解釈にもとれた。
“お客様、いつもマスク姿で来店されてますよね。初めてマスクを外しているところを拝見しました。お客様もよい笑顔ですね”
だがこの解釈は違う。なぜなら私は注文時に真顔だったからである。
真顔のやつに笑顔が素敵ですね、とはさすがに言わない。
というか、ただ私の自意識過剰にすぎないんだが。
そして3回目の来店の時である。
久々に平日の朝、ホットコーヒーを注文した。
“Dreams Come True”
だった。なんとシンプルなアルファベット3語。
"Yes We Can"のシンプルさだ。
「夢は叶う。そうだ私たちにはできる」
モスバーガーの店員と、アメリカ大統領の合わせ技で励まされた。
何でもできるんじゃないか。